それは27年前の1月札幌市。地下鉄南北線北24条駅、一番列車から70名余りの男子中学3年制がまだ眠い目をこすりながら降りて来る。あたりには、彼ら以外に人影はない。時刻は早朝、午前6時10分。真っ白な息を凍らせながら、朝ゼミ教室(大志塾の前身)へ喜々として集まった。
6時20分授業スタート。
昨年8月より、始まった朝ゼミ(午前6:20〜7:00月曜日〜金曜日)〈40分授業〉は、2週間後の函館ラサール高校入試に向けて、さらに加速度を増していた。
授業内容は英文速読法。そのユニークな学習方法は、約半年間で、2000語を超える英文を生徒全員が約5分間で、読み切ってしまう程の効果を生んでいた。その学習方法は、当時としては、あまりにもかたやぶりであったが、生徒達は彼らとあまり年の違わない若い北大の学生先生を信頼しきっていた。
そして驚異的な結果がでる。
72名中、69名、ラサールに合格!
生徒達は歓喜した。保護者たちは、驚愕した。そして、大手塾、予備校関係者は面目がなかった………
痛恨の家庭教師グループ
余りにも安易に歩き始めた。学生であるが故に試験等で以前のように定期的な時間がとれないという物理的な事業もあった。不規則でも授業ができる個人指導〈家庭教師〉の道を歩み始めてしまった。この罪はあまりにも重い!この副作用は、子供達にとってあまりにも大きい。そして、子供達自身がこの副作用(毒)に気付くのは、数年の時を待たねばならない。しかし、あまりにも子供達に教えすぎた。
甘い蜜をなめさせられ続けた子供達!
自分で問題を解決していく方法を奪われた子供達。その子達は二度と、問題と格闘しようとしない。その子達は魚のとり方を学ぼうとしなくなった。テーブルに並べられた調理された魚しか受け付けない。その子達は問題の解き方は一つでないと気に入らない。ゲームに勝つ方法は一つだけではない。あるやり方で何か出来なければ、別の方法でやってみる。そういう子供達に育てたい。